人事のいろんなこと・・・

人事部門のマネジメントをしています。日ごろ考えたこと、印象に残った本などを紹介していきます。

VUCA時代のリーダーの役割 ~その1 リーダーの役割が変化している背景は?~

みなさんにとって「リーダー」とはどのような存在でしょうか?

ビジネスの場や組織におけるリーダーとは、チームの誰よりも仕事ができて、チームの誰よりも業務のことがわかっていて、どのような状況でも的確な指示ができることがリーダーの役割という認識だったりしませんか?
特に、40歳以上の方が社会人になった頃の理想のリーダー像は、まさに上述のようなリーダーだったりするのではないでしょうか。

 

しかし、最近の事例におけるリーダー論や、組織開発のトレンドを見ていると、リーダーの期待役割が変わってきているように思えます。今の時代におけるリーダーの役割とは、すべての仕事を把握しすべての事に対する指示を的確に出すということではなく、チームメンバー1人ひとりの力を信頼し、主体的な推進を支援する役割に変わりつつあります。そして、先進的な企業はリーダーの期待役割をいち早く変化させ、新しい時代のリーダー像を実現しやすい環境を整えているという印象があります。


さて本日は、なぜ今の時代にリーダーの役割が変化しているのか、その理由をまとめてみました。


(理由1)ビジネスの高度化・複雑化

インターネットが急速に発展して20年超。変化のスピードはアップし、競合がグローバルレベルに達し、新しいサービスが次々と立ち上がる時代となりました。そして、ビジネスニーズもめまぐるしい変化が起きています。
企業と組織にはありとあらゆる壁が立ちはだかります。その壁の中には、過去の経験だけでは乗り越えられないものが多く、何をすれば成功するのか、何をすれば解決できるのか、予測不可能なことがたくさん発生しています。これを世の中では、VUCA時代と呼んでいます。

www.nikkei.com


このような時代になると、リーダー自身も予測不可能なことが多く、旧来のようにリーダーに集中していた権限や意思決定にばかり委ねていては、競争に打ち勝つことができなくなっています。そして、意思決定の権限をリーダーに集中させるよりは、メンバー一人ひとりが意見を出し合う環境を作る方が成功可能性が高まる(失敗リスクが減らせる)、という考えに変わりつつあります。


(理由2)リーダー人財の若年化、レベルダウン

リーダー一人が管理できるメンバーの適正人数を示す指標としてspan of controlという
指標があります。VUCAの時代では仕事の内容が高度であり、リーダーが情報把握できる範囲があまり広すぎると管理不能になります。このような時代背景もあり、span of controlは少なくなる傾向にあります。
その結果として、リーダーを任せたい・任せなければならない従業員の必要数も増えるのは当然のことですが、だからといって企業にリーダー人材が豊富にいるかというとそうではありません。若いリーダー、経験の少ないリーダーが、チームの責任者を務めるシチュエーションが増えていたり、企業もそのような人材にリーダーを任せたいという思いを持っています。
リーダーができそうな人・やってほしい人をどんどんアサインしていく方針の下では、リーダーには強靭なリーダーシップを期待するのではなく、経験を通じてリーダーリップ力を養成していくことが優先されます。つまり、リーダーシップ力を学習中のリーダーの比率が多くなるということです。そのようなレベルのリーダーに、いきなり旧来の期待役割を期待しても、結果は出ません。リーダーシップ力学習中である前提で、組織を作っていくことが期待されており、そのような背景もあり役割の変化が起きています。

さて、次回は、VUCA時代のリーダーの役割としてどのような理論・トレンドがあるかについて紹介いたします。