人事のいろんなこと・・・

人事部門のマネジメントをしています。日ごろ考えたこと、印象に残った本などを紹介していきます。

新卒採用目標を減らす前に、考えてほしいこと

5月も後半に入ろうとしています。新卒採用活動、皆さんの会社はいかがでしょうか。

この時期ともなれば、採用目標が達成できるかどうか、そろそろ見え始めるころです。苦戦している会社の場合「いっそのこと採用目標を減らしてしまおう、そうしないと自社の求めるスペックに合わないし」と考える企業は少なくありません。

でもちょっと待って考えてみてください。新卒採用数を減らした場合、どのような影響があるのでしょうか?
私は以前在籍していた会社で、新卒採用数を大幅に減らした年の3年後の姿を見たことがあります。その時は次のような影響がありました。

 

1.新人が配属されない部署が出てくる

言われてみれば当たり前の話です。なんだそれだけか、そう思うかもしれません。
しかし、最も下っ端のメンバーにとっては、結構大きな問題です。
誰かに仕事を引継ぎすることで、より一段上の新しい仕事にチャレンジできるように
なる、この繰り返しで人は成長していきます。
しかし、より一段上の仕事にチャレンジする機会が先送りになってしまいます
組織には、下っ端特有の仕事というのが必ず存在します。それを引き継げないのは
結構苦しいです。

 

2.〇年後のリソースが不足する

採用数を減らした時点の会社業績は低迷していたが、その後回復し業績も好調になった、この勢いに乗じてたくさん案件を獲得したい!そのようなチャンスが来たタイミング、絶対ものにしたいですよね。
しかし、採用数を減らしたことでリソース不足が生じます。問題はリソース不足が同一年代に偏るため、どこの部署でも共通した層のリソース不足が生じます。さらに外部調達(中途採用等)をしようと思うと、同一レベル層を複数補充する必要があるため、時間も労力もかかってしまいます。

 

3.〇年後、ストレッチすぎる仕事をアサインされる

これは上記の「2」に関連して起きることですが、採用数が少なく稀少価値が高いため、その年代が引っ張りだこになります。これは、その年代にとっては大きなチャンスでもありますので、決して悪いことではありません。
しかし、これがチャンスであると同時に負荷もかかります。複数のプロジェクトを掛け持ちしたり、お客さんの数が多くなったり・・・。その年代よりも下の世代は採用数を増加させている場合が多いのですが、その年代に育成の負荷もかかっていたりします。結果、ストレッチすぎる仕事をアサインされてしまい、潰れてしまう場合があります。会社がきちんとケアをしなければならなくなります。

 

新卒採用を減らすことで、入社後の会社の体制への影響が生じます。それが厄介なことに、〇年後など、後の時代に影響が出てしまい、結構大きな問題になる場合もあります。目先の採用目標数を減らして楽をする前に、将来の会社のこともよく考えてみてはいかがでしょうか。