人事のいろんなこと・・・

人事部門のマネジメントをしています。日ごろ考えたこと、印象に残った本などを紹介していきます。

タレント・アクイジションとは

最近、人材採用のミッションが変化し、「リクルーティング」ではなく「タレント・アクイジション」が求められているようです。

タレント・アクイジションとは、どのようなものでしょうか?
リクルーティングとタレント・アクイジションの違いを記事にしたブログを見つけましたので紹介します。 

www.procommit.co.jp

 

ブログから抜粋すると、「タレント・アクイジション」とは、自社が採用したいタレントを定義して採用ブランドを構築し、タレントを惹きつけタレント獲得後の活躍をサポートすること、としています。

一方、リクルーティングとは、事業本部が定めた求める人材ニーズに沿って採用活動をすることに限定しており、タレント・アクイジションはリクルーティングの発展形で、リクルーティングよりも広範囲のものとしています。


まだまだリクルーティングに留まっている会社が多いですよね・・。


次に、採用チームがタレント・アクイジションチームになるために、必要な5項目を挙げてみます。

1.自社の業務内容を理解したり、自社の組織的な課題を把握すること(社内情報に精通すること)

2.会社の将来計画をもとに、数年後に必要なタレント・ポートフォリオを設計し、中期採用KPIを立てること

3.中期採用計画実現のための採用マーケティングを行い、採用戦略とアクションプランを立案すること

4.採用戦略もとに、ブランディングやプロモーションを行うこと。

5.採用ブランド・プロモーションによって人材を惹きつけ、採用に導くこと

 

タレント・アクイジションの考え方をいち早く取り入れた会社こそが、タレント獲得に成功する時代が来ています。

通年採用が新卒採用の主流になる!?

1月20日(金)、6社の採用担当者が集まる取材に呼ばれて参加してきました。その時、複数の会社の方の担当者の方が「新卒一括採用ってそのうちなくなるよね」といったことを話していました。今日はこのテーマで考えてみたいと思います。

 

新卒一括採用を巡ってはここ5年以内に様々な議論と変更がなされ、その都度就活生と人事担当者が戸惑いながら対応に追われていますね。

ひとつの例として、インターンシップの在り方が変わり、短期間のインターンシップ(1Dayインターンシップ等)が流行りつつあります。でもその内容は会社説明会そのものであるなど、就活解禁前の学生集めの手段として利用されており、従来のインターンシップとは大分様変わりしています。

 

一方、アメリカの場合、新卒一括採用というものは存在しません。採用時期に制約はなく基本は「通年採用」であり、就業経験がなくても中途採用と同じように経験や専門性を問う採用をしているようです。そのため、大学生は学生時代に勉強をしっかりやり専門性を身に付けることや、休みの期間中はインターンシップに参加して就業経験を積むなど、就職に向けてきちんと努力しなければなりません。

また、インターンシップが学生と企業をつなぐチャネルとなっており、参加学生で優秀だったりすると、そのまま就職するケースも多いとか・・・。

gaishishukatsu.com

 

さて、日本企業に話を戻しますが、最近の動向を見ていると、日本でも通年採用をやり始めている企業が増えているようです。有名な企業として、ファストリYahoo!楽天ソフトバンクGMOが挙げられます。

[ニュース]2017年度新卒採用より「通年ポテンシャル採用」を導入~入社... - 『日本の人事部』


ここで、通年採用の目的について考えてみます。
通年採用の目的は、以下の3つである場合が多いようです。

◆通年採用の主な目的
①3月卒業ではない大学に在学中の優秀な学生を集めること
②学生時代の会社選びがうまくいかず、入社間もなく転職を考えている優秀な学生を集めること
③優秀な大学生を、他社よりも早く接触し獲得すること
(いずれかまたは複数に該当するケースが多い)

では、新卒一括採用の目的とは何でしょうか。
◆新卒一括採用の主な目的
採用シーズンの学生の動きを的確に捉え、必要なプロモーションを行い、優秀な大学生を獲得すること

もしも、通年採用が主流になり、採用シーズンを待たずに優秀な学生が内定をもらうのが当たり前になれば・・・新卒一括採用では優秀な学生を獲得しにくくなってしまいますね。
ですが、通年採用での早期獲得が過剰となれば、もしかすると通年採用を規制する倫理憲章が出されるかもしれません。でも、就職するためには大学4年生にならないと就職活動が出来ない国ってなんかおかしいですよね。規制が機能するとはあまり考えられないですし、もし機能したらどんどんグローバル社会から蚊帳の外になってしまい、それはそれでもっと心配です。

そのように考えると、通年採用は新卒一括採用の在り方を変える可能性があると思います。むしろ既に、通年採用的発想で優秀な学生をかなり早期に獲得出来ている会社もあるのでは?通年採用を早期に取り入れ、通年採用のプロモーションに向けた施策を実行していくこと、この数年間の新卒採用担当の大きなテーマになると思います。 

 

チームが成功するために必要な要素

新卒入社した大手の伝統企業では、絶対的なリーダーがいて、そのリーダーの指示に従っていれば、安心して仕事ができる環境がありました。そして私も、指示にきちんと答えていくことが最大のミッションという理解の下で仕事をしておりました。
時にはリーダーの指示が不明確だったり意見が合わなかったりすることはよくありましたが、そういう時でもリーダーという立場を尊重しリスペクトを忘れないようにしながらディスカッションをしていたように思えます。

 

しかしその後成長企業に転職し、すべてのメンバーが転職経験者という環境となり、そこで自分がリーダーを務めるようになるとそう簡単にはいかないのです。自分と同じようなカルチャーにいたメンバーなんて、そんなに多くないのです。

ダイバーシティ化やグローバル化の波が押し寄せており、伝統企業にいるリーダーも、これまで経験したことがないような新たな課題に直面しているように思えます。メンバーの価値観が多様化し、住んでいるところも言語もバラバラだったりして、昔のやり方ではリーダーシップを発揮できないことがが増えつつあるのではないでしょうか。

そのようなことを悩んでいたら、先日発売されたハーバードビジネスレビューの「チームの力」特集が出ていたので、購入して読んでみました。

 

www.dhbr.net

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この号では、米国ペンシルベニア大学の准教授らの記事が掲載されていましたが、チームが成功する条件として、次のような要素があることが大切だとのことです。


◆絶対的な方向性
チームに、明確で挑戦しがいがあり(だが不可能ではない)、達成に意義を見出せるような共通目標があるか

◆協力な構造
メンバーの人数と構成は適切か、メンバーがタスクの開始から終了まで責任を追っているか、許容されるふるまいを定めた明確な規範があるか

 

◆支えとなるコンテキスト

必要なリソース、情報、研修が得られているか、適切な成功報酬が用意されているか

◆共通の思考様式
メンバーが共通のアイデンティティを持っているか、メンバーが進んで情報を共有して相手の制約事項やコンテキストを理解しているか

これを見てみると、目新しいものはあまりなく、リーダーシップの教科書で書かれていて目に通したことがある内容が多く存在するように思えます。
特に一番最初の項目の「目標設定」というのは非常に重要であり、マネジメントやリーダーシップの研究者の多くがその重要性を唱えていますし、その研究者の権威でもドラッカーも著書「マネジメント(基本と原則)」で言及しており、マネージャーの仕事の1項目目が「目標を設定すること」としています。

 

この記事ではチームが複雑化しても、チームが成功されるために必要な要素は普遍な部分も多いとも書いていました。普遍的な部分に再度立ち返って再度勉強してみるのもひとつかもしれません。

これからの採用プロモーションの考え方

日本で最も手堅い転職手段は、人材紹介会社に登録して求人紹介を受けることでした。今でも主流は人材紹介であることは間違いありませんが、この5年くらいの間で多様化しています。
たとえば、ビズリーチやLinkedInが台頭し、ビズリーチがバズワードを作った「ダイレクトリクルーティング」が少しずつ浸透してきたこと。
ビズリーチ社はあっという間に大企業に変化し、サービスも多様化しつつあります。
また、「社員紹介」があらためて注目され、シリコンバレーの企業が行う「リファラル採用」も注目されています。

toyokeizai.net

新卒採用についても同様で、圧倒的多数はリクナビマイナビに登録して学生主導で企業選びをするのが一般的でしたが、最近は人財紹介サービスだったりSNSからスカウトしたりと、大きく変化をしていますね。

さてさて、最近はそこからまたさらに変化し、直接人財採用を目的としない手段が台頭しつつあるように感じています。

例えば「サンカク」というASPサービス。これは企業の経営に「サンカク」してもらい、有識者からアドバイスを受けることをコンセプトにしており、企業が募集ページを掲載し、興味がある有識者からの応募を待つ形式のサービスです。また、その企業の採用活動に応募することも可能です。
このサービスはリクルートが提供していますが、リクルートのロゴは全面には出ておらず、かなり控え目に出ています。理由としては、リクルーティング目的を全面に出さないように配慮しているとのこと。

sankak.jp

 

また、これは1月6日に発表されたニュースですが、DMMが就職前の人々を対象としたDMMアカデミーを開校して、学生の募集を始めました。インターンシップの要素もたくさんありますが、ネット業界のリプリゼンタティブたちが講師陣となった2年間のカリキュラムが用意され、月収30万円のお給料が出る。卒業後はDMMへの就職を必須としない。
これも採用は全面に出していません。亀山社長もサイトの中で「経済的な理由で進学を断念せざるをえなかった人、秀でたところがあっても勉強に馴染めなかった人など、様々な理由で大学に行かなかった人たちの中にも、才能に溢れる若者は多くいます。そんな人達を発掘し、自立・成長させるのが本校の目的です。」とハッキリ書いています。

dmm.academy



これから着目されるのは「短期的には成果に結びつくものはないが、もしかすると採用につながるかもしれないし、もしかするとお客様となって利益をもたらしてくれるかもしれないし、もしかするとファンになって様々な波及効果を生んでくれるかもしれない」。採用担当者は、採用や人事の枠を超えて、このような発想をもってプロモーションに取り組んでいく必要があるように感じています。