スタートアップの会社は、会社が大きくなる前にCHROを任命しよう

先日、とあるベンチャー企業の副社長と会う機会がありました。

この会社は現在社員数が70名くらい。社長がデザイナーであり普段は買い付けに海外に行っていて不在にすることが多いため、経営のほとんどは副社長が担っているようです。当然ビジネスのことは、会社の誰よりも知っている方です。

話題が人財マネジメントのことになった時、副社長自ら従業員への想いを語って頂きましたが、従業員一人ひとりの気持ちを大切にし、モチベーションをどのように上げたらよいか、かなり真剣に考えているようでした。その内容は実に的確だし素晴らしい考えであり、会話の中にはHRとか人事とかそういう用語は一切出てこなかったものの、ピープルマネジメントのことを一生懸命考え、実践しているようでした。

 

ビジネスのことが分かっていて、HRのことも分かっている人。両方わかる人が会社にいなくて、またマーケットにもいなくて、多くの会社が困っています。
でも会社が一定の規模となると経営者が人事のことを考えている余裕がなくなり、人事という組織を作ります。ですがこれがトリガーとなり、現場感覚の分からない組織になってしまうんですよね。結果、現場のニーズに応えられない、単なるオペレーション中心の人事になってしいまいます。これでは経営戦略の成功に人事は役に立たない組織になってしまいます。これが会社の成長を鈍化させている要因にもなったりします。このような背景もあり、現場と人事の間の仕事を担うHRBPのような職種に注目が集まっています。

私がお話した副社長は、経営感覚とHRの重要性の両方を持つ方でした。このような方は珍しいのですが、会社が大きくならないうちから経営感覚を持ち続けたHRのエキスパート(CHRO)を経営陣の中に参画してもらい、ビジネスの成功とHRMの両方を重視した経営をすることが、企業の成長を促進させるのだと思います。

HRに関わる人は、一人ひとりがHRBPであるべき

グローバル企業では20年以上前からHRBP(HR Business Partner)という職種が存在していますが、最近この職種の存在価値が高まり注目が集まっています。
「戦略人事」や「攻めの人事」というワード、聞いたことありますか?今、人事は単なるオペレーション部隊ではなく、経営戦略の実行に向けてもっと貢献する部隊となることが期待されていますが、HRBPはこの象徴的な存在として、半分現場・半分人事に属して部門の成功をHR面からサポートする職種です。

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HRBPに注目が集まる背景としては、主に次の2点と考えられています。
1.会社経営のソフト化・複雑化が益々進み、従業員一人ひとりのパフォーマンスが
  経営の成功・失敗を左右すること

2.HR部門がオペレーション部隊に留まっており、経営の成功という期待に応える力がないこと

上記の結果HRBPには、HR部門の専門家だけでなく、現業部門でバリューを発揮した従業員がアサインされ、現場の業務をよく知っている人物がHRBPを担うケースも多いです。

しかし、本来HR部隊とは、経営戦略の実行をサポートする部隊であるべきだし、現業の仕事のこともよく把握すべきだし、現場の実態もよく把握すべきだし、HRのエキスパートとして最新の事例やトレンドにもアンテナを張るべき部隊でなければいけません。
したがってHRに関わる人は、どのような仕事を担っていたとしてもHRBPの精神を持つべきであり、新しい時代のニーズに合わせて新しい価値を実現する人となるべきと考えます。

過去の成功体験への固執はガラパゴスを生む

既存の人事制度を抜本的に見直しし新しい制度に置き換えるようなプロジェクト、よく耳にします。大企業だと大体、10年~15年サイクルくらいで制度大改定を行っているような感覚です。
私も2007年ごろから2~3年かけて、人事制度改定を担当者として経験しましたが、10年経った今、当時の成功体験を一旦リセットしようかと思い始めています。今日はこのことについて書いてみました。


1990年代~2000年代に、多くの企業が目標管理制度を導入しました。当時の制度の特徴は、個々の目標達成度は数値で点数を算出し、その合計点を一人ひとり比較し、最後は相対評価で序列を決める制度が主流でした。しかしこの制度には問題があり、テクニック次第で点数を高くすることができる制度になってしまいました。目標達成度得点を高くしようとして目標のレベルを下げたり、目標を達成しやすい内容で設定したり、この動きを抑制することが出来ず、成果主義が機能しない傾向が見られました。このことを取り上げた、富士通の暴露本はベストセラーにもなりました。

私が制度改定を担っていた2007年頃は、目標管理制度の問題点を改善するしくみを導入し始めている企業が多く存在しました。私もそのような事例を研究し、当時の会社でリニューアルした目標管理制度を導入しました。その時は一生懸命仕事し、一生懸命考えたので、今でも良い思い出になり、自分が人事のビジネスパーソンとして最も成長したフェーズでもありました。


この時の考えたことが今でも脳裏に焼き付いており、自分が実現した制度改定が最も新しい人事制度である、一旦そのように考えると、いつまでも最新の制度のまま維持されてしまいます。


今、シリコンバレーの企業を中心に、人事評価を廃止する会社が出始めました。
半期や一年などのサイクルで人事評価し序列を決めるというやり方がそぐわなくなっているようで、頻繁なコミュニケーションを通じたフィードバックの方がスピードが求められる経営環境においては有効という考え方が少しずつ広がってきています。また、多様な働き方・価値観を尊重する時代においては、通り一遍の人事評価指標でフィードバックをすること自体が難しくなっていると(むしろナンセンスとも)言われています。

人事のトレンドは少しずつ変化していて、10年も経つとがらっと変わっています。過去の成功体験に酔いしれていては時代遅れになってしまいます。うまくいったこと・考えたことに対する固定観念をなるべく排除し、常に時代のニーズやトレンドにアンテナを張り続けるはとても重要だと感じています。

新卒採用目標を減らす前に、考えてほしいこと

5月も後半に入ろうとしています。新卒採用活動、皆さんの会社はいかがでしょうか。

この時期ともなれば、採用目標が達成できるかどうか、そろそろ見え始めるころです。苦戦している会社の場合「いっそのこと採用目標を減らしてしまおう、そうしないと自社の求めるスペックに合わないし」と考える企業は少なくありません。

でもちょっと待って考えてみてください。新卒採用数を減らした場合、どのような影響があるのでしょうか?
私は以前在籍していた会社で、新卒採用数を大幅に減らした年の3年後の姿を見たことがあります。その時は次のような影響がありました。

 

1.新人が配属されない部署が出てくる

言われてみれば当たり前の話です。なんだそれだけか、そう思うかもしれません。
しかし、最も下っ端のメンバーにとっては、結構大きな問題です。
誰かに仕事を引継ぎすることで、より一段上の新しい仕事にチャレンジできるように
なる、この繰り返しで人は成長していきます。
しかし、より一段上の仕事にチャレンジする機会が先送りになってしまいます
組織には、下っ端特有の仕事というのが必ず存在します。それを引き継げないのは
結構苦しいです。

 

2.〇年後のリソースが不足する

採用数を減らした時点の会社業績は低迷していたが、その後回復し業績も好調になった、この勢いに乗じてたくさん案件を獲得したい!そのようなチャンスが来たタイミング、絶対ものにしたいですよね。
しかし、採用数を減らしたことでリソース不足が生じます。問題はリソース不足が同一年代に偏るため、どこの部署でも共通した層のリソース不足が生じます。さらに外部調達(中途採用等)をしようと思うと、同一レベル層を複数補充する必要があるため、時間も労力もかかってしまいます。

 

3.〇年後、ストレッチすぎる仕事をアサインされる

これは上記の「2」に関連して起きることですが、採用数が少なく稀少価値が高いため、その年代が引っ張りだこになります。これは、その年代にとっては大きなチャンスでもありますので、決して悪いことではありません。
しかし、これがチャンスであると同時に負荷もかかります。複数のプロジェクトを掛け持ちしたり、お客さんの数が多くなったり・・・。その年代よりも下の世代は採用数を増加させている場合が多いのですが、その年代に育成の負荷もかかっていたりします。結果、ストレッチすぎる仕事をアサインされてしまい、潰れてしまう場合があります。会社がきちんとケアをしなければならなくなります。

 

新卒採用を減らすことで、入社後の会社の体制への影響が生じます。それが厄介なことに、〇年後など、後の時代に影響が出てしまい、結構大きな問題になる場合もあります。目先の採用目標数を減らして楽をする前に、将来の会社のこともよく考えてみてはいかがでしょうか。

取引先と人事担当のリレーションについて

先日、人材紹介会社の大手企業で当社の営業担当者と、同じ会社で前職時代に営業担当だった方と3人で会食をしました。

その中で印象的だったのは、「ちょっと会話しただけで、企業の人事担当がやる気があるのかないのか、すぐわかる」とのこと。
そしてやる気がある担当者に対しては、成功を後押ししてあげたいと思うので積極的に情報提供するようなるし、自分の営業成績のことはあまり関係なく一生懸命やりたいと思うとのこと。

私は日ごろ、20社以上の人材紹介会社とお付き合いしており、それぞれの会社の担当者の顔もわかります。積極性・担当者の能力・スピード・・・本当に様々なので、20社以上と平等に付き合うことはなく、かなり偏りがあります。

ただし、どの会社にも共通している自分のスタンスがあります。それは「この会社(もしくは私)とお付き合いしたら、きっと面白いことがありそう」って思ってもらうことです。それは様々な情報を提供することだけでなく、相手がほしいと思っている情報をタイムリーに提供すること、取引先とは思わず相手の意見に真摯に耳を傾けることetc、相手が喜んでもらえることをどんどんやることです。

その結果、全ての会社の方ではありませんが、わりと多くの取引先の皆さんと良いお付き合いが出来ているのでは?と思っています。「やる気のある人」って思ってもらえているような気がします。

人事の仕事は、お客様はいません。その代わり、取引先企業の支援を受けることが多いです。取引先企業をどのように動かしていくかは、結構大事だったりします。そのためには、「この会社(や自分)とお付き合いしたらきっと面白い」って思ってもらうための、「営業活動」が必要だと思います。

 

中途採用マーケットは、1年前と明らかに違う

 

最近、中途採用が難しくなっているという話を聞きます。


そこで、マーケットの状況を調査してみようと思い、過去2年分の転職求人倍率の推移を調べてみました。その結果、最近の倍率は非常に高くこれは2014年1月以降で最も高い水準とのことです。
 2014年12月 → 1.72倍 
 2015年12月 → 1.72倍
 2016年12月 → 1.87倍  

特に、SEやインターネット技術職は2015年12月から2016年12月にかけて以下のように上昇しており、相変わらず高い水準であります。特にSEの上昇率が結構顕著になっています。
SE 2.49倍→3.32 倍  インターネット専門職4.92倍→5.12倍

全体平均は、1.72倍→1.89倍という差でしたが、SEの倍率の変化は非常に顕著です。これだけ差があると、採用活動そのものも大きく変化しているはずです。

また、近年はIT関連専門職の転職をサポートするしくみにも注目があつまり、WEB媒体が多様化しています。掲載料無料のWEBサイト(GREEN等)、SNS型のサイト(Wantedly等)、ダイレクトリクルーティングサイト(LinkedIn、ビズリーチ)、直接転職を目的としないサイト(サンカクetc)・・・ もはやWEB媒体は戦国時代であり乱立状態にあるようです。

また、IT関連専門職の特徴として、転職支援サービスを使わず横のつながりで会社を移ることが一般的となりつつあります。横のつながりを作るためのイベントも多く企画されていたりします。

 

採用マーケットや支援のためのサービスは1年前から大きな変化をしています。次の1年ももっと変化をしていくことでしょう。採用担当者は、最先端のサービストレンドに敏感になりながら、あらゆる選択肢の中で最も有効な手段を模索しながら選んでいく必要があります。

 

 

 

タレント・アクイジションとは

最近、人材採用のミッションが変化し、「リクルーティング」ではなく「タレント・アクイジション」が求められているようです。

タレント・アクイジションとは、どのようなものでしょうか?
リクルーティングとタレント・アクイジションの違いを記事にしたブログを見つけましたので紹介します。 

www.procommit.co.jp

 

ブログから抜粋すると、「タレント・アクイジション」とは、自社が採用したいタレントを定義して採用ブランドを構築し、タレントを惹きつけタレント獲得後の活躍をサポートすること、としています。

一方、リクルーティングとは、事業本部が定めた求める人材ニーズに沿って採用活動をすることに限定しており、タレント・アクイジションはリクルーティングの発展形で、リクルーティングよりも広範囲のものとしています。


まだまだリクルーティングに留まっている会社が多いですよね・・。


次に、採用チームがタレント・アクイジションチームになるために、必要な5項目を挙げてみます。

1.自社の業務内容を理解したり、自社の組織的な課題を把握すること(社内情報に精通すること)

2.会社の将来計画をもとに、数年後に必要なタレント・ポートフォリオを設計し、中期採用KPIを立てること

3.中期採用計画実現のための採用マーケティングを行い、採用戦略とアクションプランを立案すること

4.採用戦略もとに、ブランディングやプロモーションを行うこと。

5.採用ブランド・プロモーションによって人材を惹きつけ、採用に導くこと

 

タレント・アクイジションの考え方をいち早く取り入れた会社こそが、タレント獲得に成功する時代が来ています。